(10)予定が狂って、イラッ! ①相手がいない場合

予定が狂うとイラッとする

だれでも、予定が狂ってイラッとした経験はあるのではないでしょうか。

たとえばこんなこと・・・

●休みだったのに、急に仕事がはいった(A)
●渋滞に巻き込まれていつ動くかわからない(A)
●会う約束をしていたのに、当日になって急にキャンセルされた(B)
●助けてあげたのに、「ありがとう」もない(B)

どれも「自分の予定」が狂ったという場面です。

(A)と(B)に分けましたが、違いが分かりますか?

(A)には、相手はいません。
   予定が狂って、単純に、困ってしまった場合です。

(B)は、相手がいます。
   相手との関係の中で傷ついています。

「予定が狂ったとき」の2つの状況

(A)予定が狂って、困ってしまった
(B)予定が狂って、心が傷ついた

今回は、(A)の困ってしまった場合についてお話します。

(A)予定が狂って、困ってしまった場合

●急ぎでパソコンを使おうと思ったら、動かない
●出かけるのをすごく楽しみにしていたのに、雨が降った
●ずっと大事にしていた食器が割れてしまった

いかがですか?

大抵の人がイラっとしたり、がっかりしたりしますね。

でも、誰も悪くないので、誰のせいにもできません。

どうにも腹の虫がおさまらず、周囲の人に八つ当たりする人もいます。

なぜこんなに怒りが湧いてくるのでしょう?

理由は、ただ単に「予定が狂ったから」です。

「予定が狂う」と被害を受けた気持ちになる

「予定が狂う」と、
誰が悪いわけではなくても、まるで被害を受けたような気持になりますね。

予定を立てるまでの時間が無駄になったし、
予定を変えなければいけないし、
新たな予定を立てると余計に時間も食うし、
予定を諦めるとすると、心のエネルギーも削がれます。
予定が狂ったことによるストレスは、心身にも影響するかもしれません。

「予定が狂う」ことそのものを「被害」と感じて、怒りの発生源になるのです。

「予定が狂う」とは何?

「予定が狂う」とき、一体、心では何が起きているのでしょう?

少し考えてみましょう。

たとえば、先の
「休みだったのに、急に仕事がはいった」について考えてみます。

もし予定通り休みだったらどうでしょう。

一日、のんびり、ゆっくり過ごすでしょうか?
今人気のキャンプでも楽しみますか?
久しぶりにお友達に会って、おいしいランチでしょうか?
いやいや、急ぎの用事があるという人もいる。

「休みだったのに仕事が入る」ということは、
これらの「予定」が、全部パアになるということです。

つまり、「得られるはずだったもの」が「得られない」ということです。

「のんびり過ごす時間」
「楽しいキャンプ」
「お友達とおいしいランチ」
「用事を済ませる」

これらが、失われるのです。

「喪失」です。

「予定が狂う」とは、予定されていたコト・モノの「喪失」

人の「こころ」は、「何かを喪失」すると、痛みを感じます。

「大切なものをなくした」ときと、同じ反応です。

「大切なものの喪失」に対して、人のこころは、

悲しみ、怒り、絶望感、無力感などを感じます。

「予定が狂ったとき」も同じように悲しみ、怒り、絶望感、無力感などを感じるのです。

「予定していたもの」が得られないと、心は嘆き悲しむわけです。

喪失反応ですから、簡単には悲しみや怒りはおさまりません。

「何を失ったか」に気づくことが大事

大事なことは、「何をなくしたのか」に気づくことです。

失ったものは何でしょう?

そして「何かを失ったこと」で悲しんでいることに気づきましょう。

予定が狂って「怒り」が湧いてきた時に、 

「予定していた○○が失われたから悲しいのだ」と気づければ、スーッと楽になるはずです。

誰に八つ当たりしても、「失われたもの」は、戻ってきません。

気づいたら、次は

「悲しみ」に気づいて楽になったら、次の段階です。

気づかないまま、我慢して諦めたりすると、次回に同じ状況になったときまで持ち越され、いつか「悲しみ」が「怒り」となって爆発するかもしれません。

「次の段階」は人によってさまざまです。

たとえば
「得られなかったもの」は、仕方がないとあきらめる。
また今度の機会にと思って、今回はあきらめる。
さっそく次回の予定を立てて、そちらを楽しみにする。

次回は、(B)の相手との関係で予定が狂って傷ついた場合についてです。

取手心理相談室
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