これまで4回にわたって「意識と無意識」のお話をしてきました。
前回は、「無意識」の様子についてでした。
「無意識」は、「こころの体験」ですので、科学的ではありません。
矛盾だらけです。
たとえば、過去と現在は同時に存在します。
始まりと終わりも同時です。
否定と肯定も同時に生じます。
非論理的ですが、「こころ」はそのような体験をしているのです。
「夢」は、このような「こころの体験」を教えてくれるものとして重要というお話をしました。
今回から、「無意識」の中の何を使って「夢」がつくられるのかについて考えてみたいと思います。
「夢」の素材になるもの
これまでお話してきたように、「夢」は「『無意識』が何を体験しているのか」を教えてくれるものです。
この場合の「無意識」とは、「夢」を見ている人の「無意識」です。
つまり「『夢』の素材」とは、「夢」を見ている人自身の体験なわけです。
言い換えると、
「夢」を見ている人の体験だけで「夢」はできているということです。
その体験には大きく分けて、「自分の体験」と「人類の体験」の2種類あります。
「(無意識の中にある)体験」の内容
無意識の内容を大きく分けると、次の2種類になります。
(1) 意識したくない内容
(2) 意識できない内容
(1) の「意識したくない内容」としては、
「自分が体験した」けれども、思い出したくない感情や行動や態度、思い出したくない出来事などが含まれます。
思い出そうと努力すれば思い出す可能性のある内容です。
(2) の「意識できない内容」には、
「自分自身が体験していない」感情や行動や態度、体験していない出来事などが含まれます。
体験していないので思い出すことはできません。
「人類としての体験」や「日本人としての体験」などもこの中に入ります。
「無意識」の中には、「自分自身の体験や記憶」のほかに、「人類の体験や記憶」もたくさん入っているのです。
「無意識」の中の人類の記憶
地球上に、最初の生命が誕生したのは、約40億年前とされています。
それから現在までの進化の記憶は遺伝子の中に残っているといわれています。
残っているのは身体の進化の記憶だけではありません。
こころの進化の記憶も残っているのです(そのようにユングは考えました)。
その記憶が「夢」の中に出てきます。
これらの記憶や体験(自分の体験や人類の体験)を「夢」の素材として、
次回から、ひとつひとつ見ていきたいと思います。
続く
取手心理相談室
担当者プロフィール
電話: 080-5687-8508
メール: toride.shinrioffice@gmail.com