「うつ病」になりやすい人、「うつ病」になる目的

うつ病になりやすい要因

うつ病になる「きっかけ」には、大切な人や大切な物をなくしたり、強いストレス状態が長く続いているなどがあります。

しかし、同じ状況でもうつ病にならない人もいるのです。

うつ病になる人と何が違うのでしょう。

第一に

うつ病には、うつ病になりやすい性格傾向や生き方や価値観の傾向があると言われています。
そこを少し変えてあげないと、治らないし、治っても再発しやすいわけです。

第二に

うつ病の方は心に傷つきや怒りをたくさん抱えています。
心の傷つきを癒やしたり、怒りを解消してあげる必要があります。

この2つは、「うつ病になりやすい要因」でもありますが、うつ病が「薬だけでは治りにくい理由」でもあります。

    (1) うつ病になりやすい人

① 生き方・考え方に癖(傾向)がある
② 心に傷つきや怒りをいっぱい抱えている。

①  生き方・考え方の癖(傾向) について

まじめ
頑張りや
凝り性
完ぺき主義
ゼロか100か、白か黒かという考え方をする
自分のことより相手のことを考える
自分を殺して相手に合わせる
努力家
自分に厳しい
正義感・責任感が強い
律儀
頼まれたら断れない
人には頼めない
などがあります。

これらからも分かるように、日本人として模範的な性格の人が「うつ」になりやすいのです。
ですから、「日本人であれば誰でもなる」可能性のある病気です。 

誰でもなりやすいのですが、なった人にしか分からない非常に辛い病気です。

本人もうつ病だとは気づきにくく、周囲の人にも気づかれにくいため、気づいたときには重症になっていることがあります。

理解もされにくく、悪化すると死に至ることもあり、再発もしやすい、非常に深刻な病いです。

考え方の癖や生き方などは、薬では治らないため、カウンセリングは不可欠となります。
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② 心の傷つきの癒しや怒りの解消について

うつ病になりやすい傾向があると、心が傷つくことが多くなります。

傷ついたとき、怒りが生じます。

つまり、うつ病の人は、こころの中に「傷つき」と「怒り」をたくさん抱えているわけです。

たくさん怒りを抱えているにもかかわらず、「感じないように」おさえつけている人がすくなくありません。

「おさえつける」ためには、こころのエネルギーが必要です。

その結果、日常生活で使うエネルギーが不足するのは自然なのです。

だから、「何もできない」「動けない」「やる気が出ない」「起きられない」「からだもこころも、鉛のように思い」という状態になるわけです。

使えるエネルギーがないのですから、動けるわけがありませんね。

うつ病の方が横になっていて動けないでいるのは、休息することで、エネルギーの消耗を防いだり、エネルギーを増やそうとしているのです。

つまり、自分で自分を治療しようとしている姿です。

なまけているわけでも、さぼっているわけでもないのです。

これらから、次のことが言えます。

「うつ病」は、「なまけ」「逃避」「わがまま」「意志の弱さ」「心の持ちよう」「努力不足」ではありません。 

うつ病の人は、外見は健康に見え、しかも夕方から元気になり動けるようになることが多いため,「気分の問題」「なまけ」「わがまま」などと思われてしまいます。

しかし、「なまけ」られる人はうつ病にはなりません。

逆に、「なまけられる」ようになったら、うつ病はかなり良くなるのです。

「嫌いなこと・したくないことはしない」のに、「好きなことはする」理由 

「うつ」の人には、心のエネルギーも体のエネルギーも不足しています。

ですから、「嫌いなこと」「したくないこと」は、当然、できません。
しない方がいいですね。

しかし、少し気分が良いと、「好きなこと」はできるときがあります。

この様子が、はたから見ると「わがまま」に見えたりします。

しかし、「したくないことはしない」、そして「好きなことはする」ことが、治療的には非常に良いことなのです。

なぜなら人間は、「好きなことをする」ときに、心のエネルギーを得ることがでいるからです。

逆に「嫌なこと」や「やりたくないこと」をすると、誰でもエネルギーを消耗しますね。

うつ病の治療では、「できないことはしない。無理はしない」のが鉄則です。

うつ病になる目的

うつ病で辛いのも、苦しいのも、死にたくなるのも、「これ以上無理をしてはダメ」という「からだからの命がけのSOS」です。

その証拠に、うつ病の方は、無理をすると症状が悪化しますね。

動けないで横になっているしかない状況です。

「無理」ができません。

つまり、うつ病の症状は、うつ病の悪化を防いでいるのですね。

うつ病になって、横になって一日過ごしていると、いろいろなことがこころをよぎります。

このような状態をつくることでうつ病の症状は、「生き方を考える機会」を与えてくれます。

そして、もともと「人にものを頼めなかった人」であっても、動けないのですから、頼まざるを得ません。

「甘えられなかった人」も、自分では何もできないのですから、他者に甘えるほかありません。

「断れなかった人」も、体がいうことをきかないのですから、断らざるを得ません。

「私がしなければ、大変なことになると思っていた人」も、私でなくても大丈夫であることを知ります。

こうして、うつ病になったことで、自分が無理をしなくても大丈夫であることを経験することになります。

うつ病は、「今の生き方では危ないですよ」と知らせ、「このような生き方もありますよ」と、新たな体験をさせてくれるのです。

「うつ病」は、あなたが命がけで、あなたを救おうとしている症状でなのです

「うつ病」になった機会を活かして、ゆっくり休みながら、あなたらしい無理のない生き方を手に入れましょう。

しかしそれは、ひとりではなかなか難しい作業です。

もし可能であれば、カウンセリングを利用することをお勧めします。

取手心理相談室
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