(15) 「夢」の生成 ②「夢」の素材(3)体験

「体験」

ある出来事が起きたとき、その出来事を「全身がとらえた世界」を「体験」と考えます。

この「体験」を、
「意識できる体験」と「意識できない体験」に分けてみます。

意識できる体験

私たちは、起きている間中、何かをしています。

●起きる
●ご飯を食べる
●お風呂に入る
●寝る

この日常の中で、印象的な出来事が起きると、
その人にとっての「特別な体験」となりえます。

たとえば、

●集合時間に遅刻した
●面白いドラマを観た
●友達に裏切られた

これらは「意識」がとらえた「意識できる体験」です。

この「体験」が夢の素材となることがあります。

たとえば、

●夢で、集合時間に遅刻した
●夢に、昨日観たドラマが出てきた
●夢の中でも、友達に裏切られてた

などです。

ここでは、「集合時間に遅刻した」という夢を見たとしましょう。

現実とほとんど変わらない内容だとしましょう。

他にも様々な体験があったのに、
なぜこの「体験」が夢の素材として選ばれたのでしょう?

わざわざこれを選んだのは、夢を見た人なりの理由があるはずです。

それについて考えることは、とても大切です。

次は、「意識できない体験」についてです。
「意識できない体験」とは、「無意識が体験していること(無意識の体験)」です。

無意識の体験

ここでも「集合時間に遅刻した」を取り上げてみます。

「遅刻」と言っても、
「無意識」の中には「時間」というものはありません。

実際に「時間」には、区切りはありませんね。

「意識」がはたらかなければ、「時間の区切り」はないのです。

「時間の区切り」は、人類の文明発生以前にはなかったものです。

時間を区切るようになった人類は、徐々に時間に縛られるようになってきました。

特に最近の人類はメチャメチャ「時間」に縛られていますね。

朝、何時何分に起きて、
何時何分の電車に乗って、
何時何分から何時何分まで、社会活動をして・・・・

このように分刻みの「時間」に追われるようになると、
こころの病気が増えていきます。

「こころの時間(余裕)」が奪われていくからです。

夢での「遅刻」は、
「時間」というものに対する、人類としての不安のあらわれかもしれません。

もしかすると、
「時間」の縛りからの逃亡かもしれません。
「時間」の縛りからの解放かもしれません。
「時間」の縛りへの抵抗かもしれません。

このように考えると、
「集合時間に遅刻した」という夢には、

「個人の体験」としての「遅刻」と、
「人類の体験」としての「遅刻」の両方から考えてみることができることが分かります。

単純に、「昨日の遅刻が夢になっただけ」と考えることはできないのです。

私たちは、「意識」と「無意識」の両方で、立体的にこの世界を体験していると言えます。

「夢」では、この両方の「体験」がミックスされていると考えられています。

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