べき思考とは
「~すべき」、「~でなければならない」という考え方です。
世界は、「自分の考えた通り」である「べき」なわけです。
「~べき」思考の例
●子どもに:遊んだら必ず自分で片付けするべき
努力して勉強すべき
●主婦に:完璧に家事をすべき
●夫に:家族の中心となり、家族を守るべき
●他人に:他人には親切にすべき
●時間に:絶対に遅れるべきではない
●電車で:お年寄りには席を譲るべき
●仕事で:絶対にミスをしてはいけない
仕事は全力ですべき
上司は部下のことは理解しておくべき
まだまだ、たくさんの「べき」がありますね。
べき思考の利点
べき思考は、悪いばかりではありません。
次のような利点もあります。
●意志が強く、決めたらやり通す力をもっている。
●まじめで責任感が強い。
●周囲から頼りにされることが多い。
べき思考の害
べき思考には、利点もありますが、次のような害もあります。
① 自分に対する「~べき」が強い人の場合
自分のあら捜しをして、「自分はダメ」と考え、自信をなくす。
思うようにコトが進まなくてイライラする。
「~べき」の基準に合わないと、自己嫌悪、恥、罪悪感が生じる。
自分を追い詰め、自分を苦しめる。
生きづらくなる。
② 他人に対する「~べき」が強い人の場合
他人のあら捜しをして、相手を責める。
ちょっとしたミスを許す気になれない。
期待通りに相手が動かないことにイライラする。
「~べき」の基準に合わないと、怒り、欲求不満が生じ、相手を責めたり批判する。
対人関係が悪化したり、親子関係も、家族関係もこじれてくる。
生きづらくなる。
べき思考は、自分に向けても、他人に向けても、生きづらくなってしまいます。
たいていは、自分にも、他人にも向けますので、その生きづらさはひとしおです。
ここでは、①の「自分に向ける人の場合」を考えてみます。
なぜ、「べき思考」になったの?
たとえば次のような可能性が指摘されています。
●子どものとき親に「~すべき」と言われたのを、今は自分で自分に向けている。
●子どもの頃に「~しないと愛されない」、「~しないと認めてもらえない」と思ったことを、今も同じように思っている。
●自分がどうしらたいいか分からないので他人の言った「~べき」を、頭から信じている。
では、生きづらくなるほどの「~べき」の裏には何があるのでしょう?
愛されたい・認めてほしい
人間は誰でも、周りの人に「愛されたい」、「認めてほしい」と思っています。
「周りの人」とは、親、友達、先生などです。
特に子どもの場合、愛され、認めてもらえないと生きていけませんから必死です。
子どものころから、「愛されるために」、「認めてもらうために」頑張って生きてきた方は、多くの方が大人になっても、不安を抱え込んでいます。
「愛してもらえないのではないか」、「認めてもらえないのではないか」という不安です。
人間にとって、愛されないこと、認めてもらえないことほど辛いことはありません。
ですから、急に「~べき」をやめることは、とても難しいのです。
でも、
もし可能なら、「~したい」や「~したくない」という気持ちについて考えてみましょう。
「~べき」から、「~したい(~したくない)」へ
「~べき」は、頭が考えたことですので、「こころ」がついていけないと、辛くなります。
「~したい」や「~したくない」は、「こころ」が求めることですから、楽なのです。
ただ、「~べき」の気持ちが強いと、難しいかもしれません。
「難しい」と感じたとき、ちょっとだけでいいので、考えてみましょう。
あなたの「愛されたい気持ち」は、強そうですか?
ふだんから「感謝されたい気持ち(認めてほしい気持ち)」は、ありそうですか?
「強そう」と感じたら、「私は愛されたい、感謝されたい気持ちがたくさんあるんだね」と思ってあげましょう。
取手心理相談室
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