「負けず嫌い」とは?
「人に負けるのが嫌いな性格」のことです。
負けず嫌いが、あまりにも強いとストレスが溜まってきます。
「劣等感」や「嫉妬心」を生じさせて、自尊心を傷つけてしまうこともあります。
でも、「負けず嫌い」は悪いことばかりではありません。
「負けず嫌い」は、「向上心」や「努力」、「頑張り」のエネルギー源になって、成功に導いてくれることもあります。
組織の中で中心的な人物になることもあります。
競争心が旺盛ですから、目標や勝利のために努力を惜しまない人も多いです。
しかし、「負けず嫌い」がストレスになる人も少なくないのです。
今回は、ストレスになるほどの「負けず嫌い」を「競争心」の面から見てみたいと思います。
社会の中の「競争」
私たちが生れ、育ち、生きていくこの世は、「競争」に満ちあふれています。
入学試験、運動会、野球、サッカー、コンテスト、ゲームに就職活動に職位。
気づいたら、日常的に競争が存在し、競争の中で育ち、生きてきました。
まるで、競争に勝つことが幸せであるかのような空気があります。
なぜ、こんなに私たちの社会は競争にあふれているのでしょう。
その前に、そもそも、「いのち」を得ることそのものが、「競争」の結果ですね。
「いのち」を得るまでの「競争」
私たちの「命」が芽生える、その瞬間に「競争」の「勝者」がいます。
お母さんのお腹の中で、お父さんの精子は大変な競争を経て卵子(らんし)にたどり着くのです。
基本的に、一等賞の精子くんにしか名誉ある受精の権利は与えられません。
1個の卵子を目指す精子の数は、数億です。
大変な競争率ですね。
そして、一匹の精子の侵入によって受精し、成長が始まった卵(らん)は胎盤に着床し、胎児となって成長し、無事この世に生まれ出るわけです。
無事生まれる、その確立を考えると天文学的な数字の確率になります。
生まれる前から、この競争!
私たちの誰もが、ひとり残らず、この天文学的競争率を制して生まれてきたのです。
にもかかわらず、
生まれてからも気は抜けません。
家族の中の競争
人は、3人になると競争が始まると言われます。
生まれた赤ちゃんは、最初はお母さんと2人きりの世界にいますから、競争はありません。
しかしそれもつかの間、「お父さん」というライバルがいることに気づきます。
きょうだいがいると、両親の愛情をめぐる、きょうだい間の争奪戦が始まります。
そこに弟や妹が生まれたとなると、競争はより熾烈になります。
誰よりも親の愛情を勝ち取ることは、生きていくため条件です。
古代だったら、愛されないと食料がもらえないかもしれなかったのです。
その遺伝子が、今も現代の私たちは引き継いでいます。
だから、親の愛情を得るために、きょうだいは競争するのですね。
「競争心」に火をつける
小さい子どもは、競争に勝たないと、親の愛情がもらえなくなると思い込んでいます。
しかし、そういう子どもの心を知っている親はあまり多くはありません。
だからつい、子どもに誤解させてしまうのです。
「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」
「妹の方が上手」
など言ってしまったり。
あるいは、
他のきょうだいの方が「自分よりかわいがられてる」と、子どもが思ってしまったり。
こうして、知らない間に親は、子どもの「競争心」に火をつけてしまいます。
こうなるとその子は、大人になっても、相手が誰であっても、すぐに「競争心」が頭をもたげるようになります。
以下は、「競争心」が、子ども時代の「競争」と関係している場合についてです。
「競争心」の背景にあるもの
「競争心」の背景に、親の愛情をめぐる争奪戦がある場合、
「競争の目的」は、
●愛情を得るため
●認めてもらうため
です。
古代は、競争に勝つ子どもの方が生き残れたからです。
大人になっても変わらない「競争の目的」
●「やっぱりあなたじゃなくちゃ」と思われたい
●自分の存在価値を認めてほしい
●努力をしていることを理解されたい
これは、子どものときの心と同じですね。
子どもの頃と同じように親の愛情を求めていないような大人でも、このように思うのですね。
だから
●「認めてもらえたら頑張れる」
●「認めてもらえたら自信が持てる」
と言う大人が結構いるのです。
「負けず嫌い」の裏にある「不安」
「負けず嫌い」の裏には、
「負けてしまったらどうしよう」という不安があります。
負けてしまうと、
●愛されなくなる
●尊敬もされない
●自信もなくなる
●存在価値もなくなる
と思い込んでいます。
決してそうではないのですが、「本能」の部分がそう感じてしまうのです。
そう感じる人は、
「負けても、存在価値がなくなることはない」という体験が必要です。
「負けず嫌い」を直したいと思っている人へ
ご自分の「負けず嫌い」は、生きていくために必要なものであったことを、まず、認めてあげましょう。
「負けず嫌い」を直したいという気持ちは、「負けず嫌い」である自分を否定していることになります。
自分を否定すると、とても辛くなります。
「直そう」と自己否定しないで、「負けず嫌いで頑張って生きてきた自分」をほめてあげましょう。
そこが、第一歩になります。
取手心理相談室
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