(17) 嫌いな人の夢

夢には、「嫌いな人」がよく出てきます。
夢に出てきた「嫌いな人」は、心理学的に非常に重要な意味を持っています。
まず、「善と悪」のお話から始めたいと思います。

人間は「善」と「悪」の両方もっている

人間は、
「善(光)」だけの人もいないし、「悪(影)」だけの人もいません。
善(光)と悪(影)の両方もっているのが自然です。

人は皆、この両方で生きています。
ところが、多くの人は、自分の「光」の部分しか知りません。

今回は、
光の部分を「自己像」と考え、自己像を通して「嫌いな人」について考えてみたいと思います。

自己像は簡単には揺るがない

人は誰でも自己像をもっています。
自己像とは、自分が自分に与えた自分自身のイメージのことです。

この「自己像」は、簡単には変化しません。

たとえば「自分は親切」という自己像をもっている人にとって、「不親切な行動」は自己像に反します。

たとえば、
お年寄りに席を譲らないという「不親切な行動」をしてしまった場合、
●「気づかなかった」
●「譲ろうと思ったら、隣の人のほうが早かった」
●「自分の体調が悪かった」
などと理由がつけられると、自分の「親切さ」は揺らぎません。

自分の中の「親切さ」だけに「光」を当て、それしか見えていないと、
自分の「不親切な行動」に気づきにくくなるのです。

このようにして、「親切」な自己像は保たれ、
自分の中にある「不親切」に気づくことなく、
「自分は親切な人間だ」と信じて生きていくことになります。

つまり、「不親切さ」は
なんとしても「受け入れがたい」部分になっていくのです。

受け入れがたい「影」

このように自分の中にあるけれども、
受け入れがたい「不親切な部分」は、「闇(影)」に葬られます。

これで、「不親切な部分」は「ない」ことになります。
もう、意識することはできません。

すると夢に「不親切な人」が出てきたりします。

その人は実際には「大嫌いな人」だったりするのです。

夢の中の「大嫌いな人」

夢の登場人物は、夢を見た人の「分身」と、以前に言いました。

「大嫌いな人」が夢に出てきたら、考えてみましょう。
●どんな人ですか?
●どこが嫌いですか?
●いつから嫌いですか?
●具体的に嫌なエピソードはありますか?
●他に似た人はいますか?
等々

「大嫌いな人」の「嫌いな部分」について、しっかりと取り組んでみましょう。
「どこが、どう嫌いなのか」を言葉にしていきましょう。

その「嫌いな部分」に触れたときの感情を、じっくりと感じ取ってみることが大事です。

そして最後に、少しだけ、自分自身を振り返ってみましょう。

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