なぜ「断る」のはストレスになる?
「断る」とき、
「せっかく誘ってくれたのに悪いな」とか、
「せっかく私に依頼してきたのに悪いな」と思う。
そして、
「断ること」は、「相手を拒否すること」と思っている。
だから、
「相手の期待にこたえないと」と思う。
このように、「断る」ことをめぐって、こころはいろいろなことを考え、
「断りたい気持ち」と「断れない気持ち」の間で激しく葛藤します。
これがストレスとなります。
この一方で、断ることがそれほどストレスにならない人もいます。
どこが違うのでしょう。
「断れない人」の傾向
●嫌われるのが怖い(断わると嫌われる)
なぜなら、
断ると相手が傷つくから
断るのは拒否することなので、相手が怒ると思うから
断ると関係が悪くなるから
人が嫌がることを引き受ける人は、優しくて思いやりのある人だから
断ることに罪悪感があるから
●いい人と思われたい(認められたい、褒められたい)
なぜなら、
断らない人は、優しくて思いやりがあると思うから
●引き受けると自分のためになると思っている
なぜなら、
やりたくないことをすることは、自分の経験になるから
●「人を助けたい」気持ちが強い
なぜなら、
人に喜んでほしいから
人の役に立ちたいから
いかがでしょうか?
この中から今回は、
「嫌われるのが怖い」ことについて考えてみたいと思います。
「断ると嫌われる」と思うのはなぜ?
「断れない人」の中には、「断られた人の気持ち」を考えている人が少なくありません。
●断られると、きっと、不快な思いをするだろう
●断られると、きっと、腹が立つだろう
●断られると、きっと、傷つくだろう
●断られると、きっと、拒否されたと思って落ち込むだろう
●断られると、きっと、自分のことを「思いやりのない人」と思うだろう
こんなふうに考えると、断れなくなるのも当然ですね。
これらは、「断られた相手の立場」に立って考えたことです。
もし自分が断ったら、断られた相手は「きっと、こう思う」のです。
「相手の立場に立つ」とは?
まず、次のことを確認しましょう。
人はそれぞれ、考え方も、価値観も、好き嫌いも違います。
「相手は自分とは違う」のです。
これを確認した上で、
「相手の立場に立つ」ことについて考えてみましょう。
私たちは、「相手」が「本当はどう思っているか」は、絶対にわかりません。
なぜなら、確認したように、
「相手は自分とは違う」からです。
「相手」が「本当はどう思っているか」が分からないのに、
どうやったら「相手の立場」に立てるのでしょう?
ちょっと考えてみましょう。
「相手の嫌なことはしない」というときの「相手の嫌なこと」とは、
「自分だったら嫌なこと」なのではないでしょうか?
私たちは、「相手が嫌なこと」は分かりませんので、
「自分だったら嫌なこと」を相手に当てはめて考えます。
「自分だったら、嫌だから」、
「きっと、相手も嫌だろう」と想像するわけです。
すると先ほどの「断られた人の気持ち」とは、「自分の気持ち」ということになります。
「自分の気持ち」は、以下のようになります。
●断られると、私は、不快な思いをする
●断られると、私は、腹が立つ
●断られると、私は、傷つく
●断られると、私は、拒否されたと思って落ち込む
●断られると、私は、相手のことを「思いやりのない人」と思う
いかがですか?
このように思う人は、断わられるのがすごく嫌で、「断られたくない人」ですね。
「きっと、相手もそうだろう」と思うからです
そのために、「断われない」ということになります。
つまり、
「断れない人」は、「断られたくない人」なわけです。
「断れない人」と「断られたくない人」の違い
「断れない人」の特徴をまとめると、
断られると、拒否されたと思い、傷つき、不快になって、腹が立ち、「断るような思いやりのない人」は嫌いだと思う人、
ということになります。
逆に、「断れる人」は、
断られても傷つかない人が多いです。
断られても、拒否されたとは思わず、不快にもならず、腹も立たず、断った人を「思いやりのない人」とは思わない人です。
なぜなら、人それぞれ都合があることが分かっているからです。
そして、相手の気持ちや判断を尊重するからです。
「相手は自分とは違う」ことに気づきましょう
「己の欲せざるところ、人に施す勿れ」と孔子の言葉にあります。
私たちは小さいときから、
「自分がされて嫌なことは、他人にもしない」と言われてもきました。
でも、
「自分がされて嫌なこと」を、「相手も嫌だ」とは限りません。
「自分がしてほしいこと」を、「相手もしてほしい」とは限りません。
「自分がほしいもの」と、「相手がほしいもの」は違うからです。
そして、
「自分がされて嫌なこと」を、「されても嫌じゃない人がいる」という事実があります。
「嫌なことは嫌と言える人」、「断れる人」を信頼してくれる人も少なくありません。
だから、
思い切って、断ってみませんか?
取手心理相談室
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