(7)個人によって異なるストレス ②完璧主義

ストレスを強く受けやすい傾向

ストレスを受けやすい「傾向」には「性格」や「行動」「考え方の癖」などがあります。

この「傾向」は、その人を追い込んでいきます。

追い込むのは自分ですから、逃げられません。

そこから自由になるために、まず「傾向」を知りましょう。

今回は「完璧主義」について考えてみます。

うつ病にも、燃え尽き症候群(バーンアウト)にもなりやすいといわれる「完璧主義」については、ご存知の方も多いかもしれません。

完璧主義的考え方

●要求水準が高い
(完璧な社員、完璧な妻、完璧な嫁、完璧な夫、完璧な親等になろうとする。完璧でないと嫌われると思っている。)

●相手にも完璧を求める
(「私がこんなに努力してるのに」「あなたも努力するべき」と、努力しない人にイライラする)

●目標を達成すること(完璧さ)が人間の価値と思っている

●失敗すると、すごく落ち込む

●そのため、失敗しないように最大限の努力をする
(疲れていても、必死で努力する。相手にもそれを要求する)

●責任感が強く、妥協できない

●誰にも頼らず(頼れず)、責任をもってひとりで完璧にやり遂げたい

●役割を完璧にこなす自分が好き

●いつも時間に追われている感覚がある

●常に何かを達成しようとする意欲に満ちている

このような完璧主義にはメリットもあります

完璧主義のメリット

●水準の高い成果を出しやすい

●責任感が強く、高い目標を目指して妥協せずに努力するため信頼を得やすい

●失敗しないように最大限に注意を払うためミスが少ない

この結果、周囲の人に信頼され、重要な仕事も任せられるようになり、昇進の機会も増え成功を収める人もます。

しかし、この半面で完璧主義の人は、ストレスで疲弊することは少なくありません。

完璧主義は自分を追い込む

●自分に対する要求水準が高いと、いくら努力しても、これでいいとなかなか思えない。

●他人に頼らず自分ひとりだけでやろうとする。

●「ゼロか百か思考」「白黒思考」になりやすく、「完璧でなければ失敗」と考える。

●完璧にできそうもないと思うと、一気に気力を失ってしまい、結局、失敗する。
その結果、完璧ではない自分を責め、自己肯定感や自尊心、自己効力感などが低下し、自信を失う。

このようにして自分を追い込んでいくことになります。

完璧主義のまとめ

完璧主義の人は、責任感が強く、高い目標を掲げ、他人に頼らず、妥協することなく、自らの力で物事を達成しようとします。

うまくいけば、周囲に信頼され、重要な仕事を任されるようになり自信にもつながる可能性があります。

しかし、完璧主義だからこそ、小さな失敗を許せず、途中で挫折することも多くなりがちです。

その結果、自信を失うことになります。

この生き方そのものが、ストレスフルな生き方なのです。

うつ病になりやすい生き方です。

心臓病やなどの病気にもかかりやすく、バーンアウト(燃え尽き症候群)もしやすくなることがわかっています。

そして、完璧主義の親は自分ができなかったことを、せめて我が子に成功させてあげようと夢見てしまいます

その結果、子どもがうつ病になったり、不登校になったり、適応障害になったり、さまざまな心の病にかかってしまうことがあります。

子どもを完璧主義にしてしまうことば

●「早く、早く」と、常に急かす

●「ぐずぐずしないで、さっさとしなさい」と言い、「もっと頑張れ、まだまだ足りない」というメッセージを出す

●「○○ちゃんに負けないように頑張りなさい」と競争心をあおり、評価の基準を他人に置く

●「こんな点数で満足しないで、もっと勉強しなさい」と、頑張ったのに「まだ足りない」と言い、いくら頑張っても評価されない体験をさせる

●「あなたはやればできる」と、「もっと力がある」と思わせて、無限の努力に誘う

●「こんなこともできないの?」と、できないことを非難することで「できない自分はダメ」という価値観を植え付ける

●「こうでなければいけない、ああでなければいけない」と、子どもができたことではなく、できなかったことに注目して自信を失わせる

自分の子どもにこのような言葉をかけてしまう親御さんは、親御さん自身が親や先生に言われてきたことが少なくありません。

言われて嫌だったにもかかわらず、我が子にも言ってしまう自分に気づいていますか?

「完璧主義」を直す方法は、 いろいろな本が出ていますし、 セミナーもありますし、ネットを検索すれば、たくさん見つけることができます。
認知行動療法という心理療法(カウンセリング)もあります。

しかし、簡単に直せる人ばかりではありません。
直ったと思っても、元に戻ってしまう人は少なくありません。

なぜでしょう?

●いくら頑張ってもほめてもらえない
●こんなこともできないと否定され、貶められた
●友人やきょうだいと比べられた

これらの体験によって傷ついた心は、そう簡単に癒えるものではないからです。

なんとかしたいと思われる方は、お近くのカウンセリングルームや心理相談室を訪ねることをお勧めします。

うつ病の診断を受けた方も、お薬だけではなく、カウンセリグ(心理療法)を受けられることをお勧めします。

取手心理相談室  
担当者プロフィール
電話: 080-5687-8508
メール: toride.shinrioffice@gmail.com