(1) 「怒り」はコントロールできる?

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「怒り」はコントロールできる?

怒りは身体反応

「怒り」はコントロールできると思っていませんか?

ハッキリ言いますと、

「湧いてくる怒り」は、決してコントロールできません。

自然発生的に湧いてしまう「からだの反応」だからです。

「湧いてきた怒りを感じること」と「怒りをコントロールするころ」とは、別なのです。

本屋さんに行くと、「怒らない方法」「アンガーマネジメント法」「怒りを消す方法」など、怒りをコントロールするための本がたくさんありますね。

まるで「怒り」はコントロールできるみたいです。

でも、これらの本が言っているのは、「怒りの表現」のコントロールです。

「怒り」は良くないこと?

「怒り」は良くない感情とされ、子どもは小さいときから「怒り」を我慢するように言われます。

その結果、怒りは悪いことと思っている人はたくさんいます。

でも怒りは、「感じよう」として感じるものではありません。

なぜか「感じてしまう」のです。

赤ちゃんはお腹がすくと、この世の終わりのように泣いて怒りますね。

大人だってお腹がすくとイライラして怒りやすくなります。

身に覚えのある方も多いのではないでしょうか。

このように怒りは意識して生じるのではないのです。

怒りは、湧いてくるもので、良いも悪いもなく、怒っているという「事実」があるだけです。

意識ではコントロールできない理由

怒るとき、心臓がドキドキし、顔が赤くなり、目はまん丸く(三角になる人もいます)、呼吸も浅く速く、血圧も上がります。

交感神経が興奮し、アドレナリンというホルモンが出ている状態です。

怒り(感情)は、からだと直結しているのです。

わたしたちのからだは、「傷つけられているとき」、「権利が侵されているとき」、「欲求や望みが適切には満たされていないとき」、「何かが間違っていると感じるとき」、アドレナリンを出します。

アドレナリンが出ているとき「こころ」は、「怒り」として感じるのです。

「アドレナリンが先か、怒りが先か」の問題はありますが、「からだの反応」が関わっているために、「怒りの発生」そのものは、意識ではコントロールできないのです。

「怒り」が伝えるメッセージ

「怒り」は、「あなたは今、傷ついていますよ」、「危険が迫っていますよ」、「相手との距離が必要ですよ」と、からだが教えてくれる大切なメッセージです。

ですから怒りを必要以上に抑え込むと、「からだ」が苦しくなります。

「からだ」が苦しくなると、「こころ」も苦しくなってしまいます。

果ては、「こころもからだも」悲鳴を上げることになります。

ここから心身症や神経症、うつ病など、こころの病いへの道は遠くはありません。

「怒り」のメッセージを理解する

怒りのメッセージを理解してあげましょう。

怒りは大切な感情です。

「こんな些細なことでイライラするなんて」と、否定しないでください。

イライラするには理由があるのです。

「怒っていること」を認めてあげましょう。

「怒りのコントロール」とは、その上でのコントロールです。

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参考図書
『怒りのダンス』誠信書房〔Lerner.HG著(1985)園田雅代訳(1993)〕 
『こころを大切にする看護 燃えつきを防ぐために』日本評論社〔樫村通子(2015)〕