(8)個人によって異なるストレス ③白黒思考

白黒思考とは

●白か黒か、善か悪か、敵か味方かというような、極端な思考です。

●昨日までの「素晴らしい人」が、今日は「最低の人間」と思ってしまう心の動きです。

●自分の味方をしてくれる人は「善」ですが、そうではない人は「悪」と考えます。

●でも、その「善」の人も、少しでも気に入らないところが見えると、急転直下「悪」に落とされ糾弾されてしまいます。

他人の欠点がチラッと見えると幻滅してしまうのです。

こうして理想化と幻滅の間を揺れ動くことになります。

この思考がストレスになるのはなぜでしょう?

まず、白黒思考になる元のところをみてみたいと思います。

白黒思考の根

白黒思考の元のところには次のような、自分への陶酔感があります。

●自分は常に善である

●自分は絶対に正しい

●自分は特別有能である

●自分は誰にでも好かれている

●自分はやろうと思えばなんでもできる

こういうのを「万能感」とか「全能感」と言いますが、「赤ちゃん特有」の思考です。

でも現実は、どうでしょう

自分が絶対に正しいとは限らない。

自分より有能な人は世の中にはたくさんいる。

人は、誰にでも好かれるわけではない。

人は、どんなに頑張ってやろうと思ってもできないことがある。

つまり、

赤ちゃんの特有の思考は、現実とはかけ離れているわけです。

現実とのギャップ

「現実とのギャップ」がストレスの元になります。

しかし、この極端な考え方は、赤ちゃんには必要です。

赤ちゃんは、「自分はやろうと思えば何でもできる」という万能感をもつことで、何にでも挑戦することができます。

その結果、いろいろなことができるようになっていきますね。

でも、
大人になっても白黒思考の人は、できない事に気づいていません。

気づけないのです。

気づくわけにはいかないのです。

なぜでしょう?

赤ちゃんの万能感と、大人の白黒思考

万能感を感じている赤ちゃんは、「できる自分」だけを見ています。

「できない自分」に気づいたら、挑戦ができなくなってしまいます。

だから「できない自分」に気づくわけにはいかないのです。

ここは大人の白黒思想と同じです。

赤ちゃんの万能感は、成長するにつれて「等身大の自分」が見えた時、手放されます。

理想の自分と現実の自分との違いに気づくわけです。

しかし、大人になっても万能感を手放せていない人は、「等身大の自分」を見る機会がなかったのですね。

どうしてでしょう?

「何でもできる自分」でいる必要があったからです。

「何でもできる自分」でなければいけない

何でもできないと「認めてもらえない」と思ったことはありませんか?

幼少期から「認めてもらいたい」と願い続けてきませんでしたか?

親が過干渉だったり、過保護で、口うるさくて、厳しかった、なんてことはありませんか?

家庭でいつも誰かが機嫌悪かったり、不安定で、安心できる場所ではなかったということはありませんか?

「無力感」と隣り合わせで生きてきませんでしたか?

そして、「自分がなんとかしなければ」と思ったことはありますか?

万能感の裏側は無力感

人は誰でも「できること」と「できないこと」があります。

「できる自分」も「できない自分」も、両方とも自分なわけです。

ところが白黒思考は、そうは考えません。

白黒思考では、「できる自分」が見えている時は「できない自分」は見えなくなります。

逆に
「できない自分」が見えている時は「できる自分」は見えません。

「できる自分」だけ見ているときが万能感です。
「できない自分」だけのときが無力感となります。

どちらか一方しか見えません。
「ありのままの自分」を見ることがとても難しいのです。

生きづらくなります。

そして、とてもとても大変なのが、大人になってから万能感を手放すことです。

大変な苦痛と喪失感と無力感と絶望感に襲われます。

「ありのままの自分」を産みだす苦しみと言ってもいいでしょうか。

簡単ではないのです。

お薬ではどうにもなりませんから、お近くのカウンセリングルームか心理相談室を探してみましょう。

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完璧主義との違い
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白黒思考は
完璧主義と似た部分がありますが、完璧主義とは違います。

完璧主義は、
小さな失敗を許さず、妥協しないで完璧を求め続けます。

その結果、
少しでもうまくいかないと途中で挫折してしまいます。

完璧にできれば「100点」ですが、ひとつミスすると「0点」です。
「0か100」というわけです。

その部分は、白黒思考も同じです。

違いは、

完璧主義が常に完璧(100%)を目指すというところです。

白黒思考は、完璧(100%)を目指してはいません。

ただ、世の人々を「完璧な人間」と「ダメな人間」に分けてるだけです。

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