(2) 「怒り」は無意識の反応

「怒り」は無意識の反応

「怒り」をあらわす言葉

「怒り」をあらわす言葉は、本当にたくさんあります。

青筋立てる、ふくれっつらをする、噛みつく、食ってかかる、顔をゆがめる、歯ぎしりする、からだを震わせる、大目玉をくらわす、鼻の穴をふくらませる、目を吊り上げる、
腹を立てる、はらわたが煮えくり返る、腹に据えかねる、腹の虫がおさまらない、
頭から湯気を立てる、頭に血がのぼる、頭にくる

どうですか?
怒ったときの「からだ」の様子が、そのまま「怒り」をあらわす言葉になっていますね。

「腹」と「怒り」

腹(内臓)は、赤ちゃんが最初に「こころ」を感じるところといわれています(参考図書②)。

お腹がすくと「怒って」泣きますね。大人だって、おなかがすくと機嫌が悪くなります。

腹が立ったり、煮えくり返ったり、虫の居場所も決まっているようで、なかなか大変そうです。(腹を立てる、はらわたが煮えくり返る、腹に据えかねる、腹の虫がおさまらないなど)

「頭」と「怒り」

「頭」と「怒り」はどうでしょう。

「ここで怒っちゃダメ」などと考えたり我慢したりするのは、理性(脳)のはたらきです。

理性がきかなくなると、怒りも抑えられなくなります。

カッカしてくると額(ひたい)に浮き上がった青筋(血管)が「キレて」しまいそうです。

理性(脳)が限界に達し、頭から湯気が出ている状態ですね。

理性(脳)でつなぎ止めていた堪忍(かんにん)袋(ぶくろ)の緒も「キレ」てしまいます。

こらえていた怒りが爆発する様子がよくわかりますね。

怒りは「からだ」を使って表現されるのです。

わたしたち人類は、太古の昔から「怒り」をからだの反応として感じていたに違いありません。

「からだ」は無意識で動く

ところで「からだ」は、「意識」して動かすことはできませんね。

心臓などの臓器も、神経も骨も筋肉も、無意識の動きです。

たとえば「歩く」とき、腸(ちょう)腰筋(ようきん)、大腿(だいたい)四頭筋(しとうきん)、大殿筋(だいでんきん)など、たくさんの筋肉が同時に、絶妙に動きます。

この複雑な動きをわたしたちは、無意識で行っているのです。

「こころ」も無意識で動く

「怒り」というからだの反応も、わたしたちは意識できません。

こころの動きをわたしたちは、無意識で行っているのです。

ところが「こんな小さなことで腹を立てるなんて」と自分を責め、「なんて自分は小さい人間なんだろう」と嘆く人が多いのです。

でも、とにかく実際に「怒りが生じた」ということは、あなたにとって、「小さなことではないヨ」「ささいなことではないヨ」と「からだ」が教えてくれているということです。

「怒り」の本当の理由

「なぜ、腹が立つのか」は、「無意識」のことですから、分からないことは多いのです。

「わかってる」と言う人はたくさんいますが、「無意識的な理由」まではわかっていません。

この理由がわかると、不思議なことに腹が立たなくなることは少なくありません。

次回からは、具体的な例で考えてみたいと思います。

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参考図書 
①『怒りのダンス』誠信書房 〔Lerner.HG著(1985)園田雅代訳(1993)〕 
②『内臓のはたらきと子どものこころ』築地書館  〔三木成夫(1982)〕 
③『こころを大切にする看護 燃えつきを防ぐために』日本評論社 〔樫村通子(2015)〕