(18) 「夢」の生成 ②「夢」の素材(6)心の傷

夢は心を癒やす

「一晩眠れば楽になる」とは、昔から言われてきました。
眠りに心を癒やす効果があることは、私たちは体験として知っています。

最近の夢の実験でも、夢を見ることで辛い記憶が軽くなることが分かりました。

前回「レム睡眠」が記憶の整理をするお話をしましたが、
「心の傷」という辛い記憶も、レム睡眠のときに整理されるようです。

心を楽にするのは、「睡眠」そのものではなくて、
睡眠中に見る「夢」だったのです。

夢は「心の傷」をめぐる

辛い体験をすると、それに関連する夢を何度も見ることが実験で分かっています。
夢では、受け入れがたい出来事に伴う感情を繰り返し体験します。

恐怖、無力感、不安、罪悪感、絶望感、嫉妬、憎しみ、怒り、悲しみ、不安、喪失感

辛くて、考えたくなくて、抑えつけていても、
傷ついた心は、それを修復しようとして、その夢をみるのです。

たとえ辛い出来事を忘れてしまっても、心の中では、処理しきれない感情が渦巻いていて、私たちはその感情と格闘していると言えます。

だから、夢はその感情をめぐるのです。

深い傷でなければ、夢を見るだけで自然治癒します。
でも、体の傷と同じように、心の傷も深くなると治療が必要になります。

自然治癒できないほど辛い出来事ですと、逃げたくなりますね。

逃げようとすると、「なんとかして!」と「傷」が追いかけてくることがあります。

すると、それは悪夢になります。

悪夢

悪夢とは、嫌な夢や、うなされるような怖い夢です。

「トラウマ」を抱えている人にとっての悪夢は、トラウマを再び体験しているようなものですので、非常に辛い夢となります。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症している人は、頻繁に悪夢を見ることが分かっています。

心が、消化できない辛い体験をなんとかして消化して、心の傷を癒やそうと頑張っているからです。

悪夢に対して

悪夢のために日常生活に支障をきたすようなときは、薬に助けてもらって、しっかりと眠れるようにすることが大切です。

それ以外の場合は、
心が、トラウマや傷を消化していく過程と考えましょう。

フラッシュバックのような夢に対して

PTSDの人が、フラッシュバックのような、現実とほとんど変わらない夢をみることがあります。

そのようなとき、「現実」と「違うところ」を探してみましょう。

全く同じではないはずなのです。

どこか「現実と異なる部分」があるはずです。

そこに注目していくと、夢は変化を始めます。

夢が変化するということは、トラウマを消化し始めている証拠になります。

一人でするのは難しいですので、どなたか夢を聞いてくれる人を探すといいと思います。

夢分析や、普通のカウンセリングでも夢の変化は促進されますので、お近くの相談室やカウンセリングルームを探してみてください。

取手心理相談室  
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