(12) 個人によって異なるストレス ⑦失敗が怖い

失敗するとどんな気持ちになりますか?

●失敗すると苦しくなる
●悲しくなる
●腹も立つ
●涙も出る
●自信もなくなる

失敗すると、このような状態になるのは、人間として自然です。

失敗を恐れるのは当たり前

誰でも失敗は怖いのです。

未知の世界には誰でも恐怖心をもつのです。

ですから、新しいことや変化に対して「恐れる」のは、自然なことです。

でも、あまりにも「失敗が怖い」と「挑戦」がストレスになります。

毎日の普通の作業もできなくなることがあります。

生きていくことさえ大変になってくることもあります。

一方で失敗を恐れず、未知のことに挑戦できる人もいますね。

そういう人にも「恐れ」がないわけではないのですが、

「失敗を恐れすぎる人」との違いはどこにあるのでしょう?

失敗が怖いのはなぜ?

①「失敗」そのものにたいする気持ち

●「失敗は悪いこと」と思っている
●「失敗しないことが当たり前」と思っている

このような思いが強いと、必死で「失敗」を避けますね。

「ことわざ」を思い出しましょう。

   失敗は成功のもと

   失敗は成功の母

   禍(わざわい)転じて福となす

   七転び八起(ななころび やおき)

「失敗」が悪いことではないのは、先人が伝えてくれてきたことですね。

②「失敗」と「人格の否定」を関連づけてしまう

●失敗すると、バカにされると思う
●失敗すると、自分の評価が下がると思う
●失敗すると、ダメな人間と思われると思う

このような気持ちになるのは、「失敗」した人に対して「人格を否定する」人が実際にいるからです。

親や先生が、「だからお前はダメなんだ」等と言ってしまう場合です。

「失敗」と「人格」は全く関係がないことを確認しましょう。

③「失敗」が「自己評価」をさげる

●失敗は、敗北と思っている
●失敗すると、恥ずかしい
●失敗すると、自分が劣っていることがバレると思う
●失敗すると、自尊心が傷つく
●失敗すると、無力感に襲われる
●失敗は、屈辱的と感じる

このようなとき、「自分に対する期待」が実際の自分ができることよりも大きい可能性があります。

「現実の自分」と「理想の自分」のギャップの問題です。

この「理想の自分」は、(自分で自分に抱いている)「幻想」と呼ばれます。

次の、④と⑤は、その「幻想」によって「失敗が怖い」場合についてです。

④も⑤も、本当によくあることですが、

無意識レベルで起きますので、気づいていない方はたくさんいます

頼まれたことや指示に対して、「期待されている」という「幻想」を抱く

(つまり、「自分にできないこと」を期待されているかのように思ってしまう)

●自分に「期待されていること」を誤解する(すごく大きな期待と感じる)
●その結果、能力以上のことをしようとする
●「期待されていること」(幻想)に、完璧にこたえるべきと考える
●失敗すると期待してくれた人(これが幻想)を裏切る(これも幻想)と思う
●「過度な責任感」をもっていて、「失敗は全部自分のせい」(これは幻想)と思う

目標や希望に対して、自分で自分に「(幻想的な)期待」をもつ

(つまり、(越えるべき)「高いハードル」を設定する)

●とても高いハードルを設けるため、飛ぶのが「怖い」
●ハードルが高すぎて、飛ぶ自信がない、その結果「失敗」する

この場合、

自分にとって高すぎるハードルを設定していることに気づかず、
失敗して当たり前の高さなのに、飛ぼうとするから「怖い」わけです。

このような人は、

「自分が飛べる高さのハードル」を、
         「たいしたことない」と思っています。
つまり、自己評価は「たいしたことのない人間」なわけです。

本当は「高いハードルを飛べる人間」になりたいので、

無意識に「高いハードル」を設定してしまいます。

「飛べるはずだ」と思いたいのですね。

深層は、

「たいしたことのない人間」であることに「気づくこと」が「怖い」ということになります。

実は、ここがとても難しいところです

「たいした人間ではないことくらい知ってる」と皆、言います。

でも、本当に「たいした人間でない」ことが分かっている人は、
「失敗」を恐れることはありません。

だって、「たいした人間でない」ことを本当にわかっているなら、
失敗して当たり前ですから、「失敗」を怖がる必要はないのです。

「失敗が怖い」場合、心の中では、

●「すごい人」と思われたい
●みんなに認められたい
●みんなに称賛されたい
●他人からチヤホヤされたい

このような気持ちが隠れていることが少なくありません。

「そんなこと、思ったこともない」と、多くの人は言います。

でも、考えてみてください

社会で生きる人間にとって、「すごいと思われたい」「認められたい」「称賛されたい」「チヤホヤされたい」のは当たり前ですよね。

でも、このように思う自分を「恥ずかしい」「いやな人間」という人は多いです。

この状態を、自己否定といいます。

自己否定が強いと、失敗が怖くなるのです。

失敗」を恐れないために

●「失敗」が「怖い」「嫌だ」という気持ちを大切にしましょう
(怖くて当たり前と思いましょう)

●成功して「すごいと思われたい」「認められたい」「称賛されたい」「チヤホヤされたい」という気持ちは、あって当たり前と思いましょう

失敗」とは、なに?

「挑戦」の結果は「成功」か「失敗」しかありません。

図にすると以下のようになります。

挑戦⇒失敗⇒再挑戦⇒失敗⇒再挑戦⇒失敗…⇒失敗…⇒…⇒…⇒成功

「失敗」は、「成功」までのプロセスであることがおわかりでしょうか?

「失敗」は「結果」ではないのですね。

「失敗」したところでやめた場合に「失敗」になる、ということになります。

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