(16) 「夢」の生成 ②「夢」の素材(4)感覚

眠っていても感覚は起きている

●寝ているとき、何かの音で目が覚める
●寝ていても、名前を呼ばれると返事をする
●隣のいびきがうるさくて「うるさい!」と言うと、止まる
●目覚ましが鳴る前に、ちゃんと目が覚める
●目覚ましをかけなくても、毎日同じ時間に目が覚める

この他に、

●乳児に添い寝しているお母さんは、赤ちゃんがほんのわずか動いただけで、ピタッと沿うように同じ姿勢になることが観察されています

私たちの感覚は、深く眠っていても閉じられていません。

次に、寝ているときの私たちは、どのような種類の「刺激」を受け取っているのか見てみましょう。

からだの外からくる刺激

フロイトは、次のように言っています。
「どんな物音も、それに応じた夢の映像を生み出す」

たとえば、

●雷の音が、戦場の真っただ中へ連れて行かれる夢になるかもしれない
●鶏の鳴き声が、人間の悲鳴になるかもしれない
●戸の開ける音が、強盗の侵入してくる夢になるかもしれない
●掛け布団が落ちたとき、水の中に落ちる夢をみるかもしれない

からだの内からくる刺激

眠っているときは、起きているときよりもはるかに深く、体の中の変化に敏感で、そこからくる刺激を受け取っています。

これについてフロイトは次のように言っています。

●心臓や肺が悪いと不安な夢を見る
●消化器系の障害があると、ものを食べたり吐いたりする夢を見る
●炎症を起こしていると火の夢を見る

実際は、フロイトの言う通りの夢を見る人もいれば、見ない人もいます。

これまで「夢」と「感覚」の関係については、
いろいろな実験がされてきました。

しかし、
「夢」であるがゆえに確証を得るところまではきていません。

「内なる知」の表現

「夢」ではありませんが、自由に書いてもらった「絵」についてのお話です。
「絵」には、体に起きた異変が描かれることが分かっています。

命にかかわる重病の子どもの描いた「絵」には、予後が描き出されるのです。
ときに、体のどこにどのような異変が起きているかが「絵」で分かることさえあります。

子どもだけではありません。

大人でも、何気なく描いたいたずらいたずら描きや、有名な画家の作品にも、病気の部位が示されたり、予後が示されていることが確認されています。

「絵」は、「夢」と違って他の人が目で見て確認できるから、分かるのです。
なぜ、体の危機を「絵」に描けるのかは、わかっていません。

とにかく、体の異変は「絵」に描かれるのです。

私たちは、体の変化を全部意識することはできないのですが、無意識レベルではキャッチしているようです。

重病の子どもの絵の研究をしたスーザン・バッハという人は、
この「キャッチする能力」を「内なる知」と呼んでいます。

私たちの「内なる知」は、
意識では気づかない体の異変に、気づいているのです。

ということは、
「夢」にも「内なる知」がはたらいているはずですね。

参照文献:『生命はその生涯を描く』スーザン・バッハ著 誠信書房
           (スーザン・バッハ:ユング派の分析家)

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