「ユング」は、人の名前です。
カール・グスタフ・ユングといい、スイスの精神科医で心理療法家です。
このユングが創始した深層心理学の理論、及び、心理療法の理論がユング心理学で、分析心理学とも呼ばれます。
フロイトの精神分析、アドラーの個人心理学とともに深層心理学の代表的な学派とされています。
スイスのチューリッヒにユング心理学の分析家になるための養成所があります。
河合隼雄さんが日本人として初めてユング派分析家の資格を取得し、帰国して日本に広めました。
ユング心理学の特徴
心理療法
ユング心理学では言葉による表現や理解も大切ですが、イメージ表現をより大切にし、夢分析や箱庭療法、絵画療法、アクティブ・イマジネーション等を併用する心理療法(カウンセリング)を行っています。
あらゆるものには対極(意識に対する無意識、男性に対する女性、精神に対する身体・物質、光に対する影など)が存在し、人間の心も対極的なもの同士で支え合っていると考えます。
心理療法(カウンセリング)では、自らの対極と出会い、対立し、折り合いをつけて受け入れていくというプロセスを経ることが重視されます。
つまり、自らの心の暗い部分、認めたくない嫌な部分と出会うことが本来の自分らしく生きる方向(自己実現/個性化)へ向かうと考えます。
心理療法(カウンでリング)では、相談に来られた方(クライエント、患者さん)の症状(問題)を除去することを目的とせず、症状は、その人がその人らしく生きる(自己実現/個性化)ために生じたと理解して心理療法(カウンセリング)を進めます。
無意識-フロイトとの違い
「無意識」については、ユングの考える無意識はフロイトの考えた無意識と少し違います。
ユングは、フロイトの無意識を個人的な無意識と考え、そのさらに深いところに、人類共通の無意識(普遍的無意識/集合的無意識)を想定しました。
普遍的無意識(集合的無意識)の領域には、神話や昔話などのイメージがあり、そのイメージは夜見る夢にあらわれることがあります。
また人類共通ですから、古代に生きた人類が見た世界に出会うこともあります。
ですから、ユングの心理療法・夢分析はフロイトの精神分析・夢分析とは相当異なることになります。
フロイトの精神分析がクライエントとセラピスト(相談者とカウンセラー)の二者関係を対象とするのに対して、ユングの場合は二者関係のさらに深層にあって、二者関係等の背景となっているイメージを対象とするからです。
よく知られている専門用語
ユング心理学の専門用語に「コンプレックス」、「内向・外向」という言葉があります。
コンプレックスは、現在使われているような意味(劣等コンプレックス等)で最初に使ったのはユングですが、実は、劣等コンプレックスの他にも様々なコンプレックスがあります。
また、内向・外向は、日常使われている意味とは少し違います。
外向については、興味や関心が社会の出来事や他人との関係の方に向いている人を外向的と呼びます。
内向は逆に、興味や関心が自分の内面の方向を向いている人を内向的と呼んでいます。
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